蛍光性コレステロール

 コレステロールは,細胞膜の構成要素であるとともに, 情報伝達,ホルモンの前駆体など多くの機能を担っています。しかし,コレステロール単体では紫外・可視領域に吸収・発光を示さないため,発光による観測は困難です。そこで我々はコレステロールに蛍光団を結合させた蛍光性コレステロールアナログを合成し,蛍光分光法によってコレステロールの細胞内での分布や動態を解明することを目指しています。


図1 コレステロールの構造


図2 20-ダンシルコレステロール(DCho20)の構造

 図1にコレステロール,図2に合成した蛍光性コレステロールDCho20の構造を示します。DCho20は環境応答型蛍光団であるダンシル部位を有するため,周辺環境に依存して蛍光特性が変化します。これを利用して,脂質ニ分子膜中に存在するコレステロール含量を色の変化で識別できます。図3に示すように,DCho20は脂質二重膜中においてコレステロールが存在しないときは,緑色の蛍光を示し,コレステロールが存在すると青色の蛍光を示します。



図3 脂質二重膜中におけるDCho20の発光に対する
コレステロールの添加効果



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