レシオ型生体酸素プローブの開発

 発光プローブを使って細胞や組織の中の酸素濃度を求めるには、発光寿命の測定が必要になります。一般に発光寿命は、レーザーのようなパルス光で細胞や組織を励起して、プローブの発光の減衰を測定することによって求められます。このような特別な装置を使わずに酸素濃度を簡便に測定できる方法として、レシオ型酸素プローブ(図1)を設計、合成しました。この分子はクマリン343と呼ばれる蛍光団とりん光団であるイリジウム錯体BTPをテトラプロリンをリンカーとして結合した構造をしています。ここで蛍光の強度は酸素濃度にほとんど依存しませんが、りん光は酸素濃度が高くなると弱くなる性質があるため、蛍光とりん光の強度比を測定することにより、プローブ分子周囲の酸素濃度を求めることができます。




図1 レシオ型酸素プローブの分子構造


 図2Aは発光スペクトルが溶液の酸素分圧とともに変化する様子を、図2Bはレシオ型酸素プローブを含んだ溶液の発光色が酸素分圧とともに変化する様子を示しています。




2 発光スペクトル(A)と発光画像(B)の酸素分圧依存性



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